わたしの本棚

新書の棚

池内了【著】「疑似科学入門」(岩波新書, 2008年4月)

左巻健男【著】「水はなんにも知らないよ」(ディスカヴァー・トゥエンティワン, 2007年2月)

併せて、伊勢田哲治【著】「疑似科学と科学の哲学」(名古屋大学出版会, 2003年1月) も読んで欲しいと思います。

原田実【著】「江戸しぐさの正体教育をむしばむ偽りの伝統」(星海社新書, 2014年8月)

市川伸一【著】「考えることの科学推論の認知心理学への招待」(中公新書, 1997年2月)

森博嗣【著】「科学的とはどういう意味か」(幻冬舎新書, 2011年6月)

高橋克徳, 河合太介, 永田稔, 渡部幹【共著】「不機嫌な職場なぜ社員同士で協力できないのか」(講談社現代新書, 2008年1月)

平田オリザ【著】「わかりえないことからコミュニケーション能力とは何か」(講談社現代新書, 2012年10月)

湯浅誠【著】「反貧困「すべり台社会」からの脱出」(岩波新書, 2008年4月)

物語の棚

王城夕紀【著】「青の数学」「青の数学2」(新潮文庫, 2016年8月, 11月)

「数学」は英語で mathematics といい、語源をたどると「学ぶべきこと」を意味する言葉になるそうです。本書では、数学好きの高校生たちが「決闘」で腕を競い合いながら、「数学とは何か?」に思い悩む姿が描かれます。

アポストロス・ドキアディス【著】、酒井武志【訳】「ペトロス伯父と『ゴールドバッハの予想』」(早川書房, 2001年3月)

専門家でない読者に注意しておくが、数学書はふつう、小説のように…(中略)…して読めるものではない。ここで〝読む〟というのは理解するという意味で、そのためには、机になるものと、紙、鉛筆、集中できる時間が必要だ。 p.171
カラテオドリに師事し、ある微分方程式について示したパパクリトスの方法として知られる解法で若き日に名声を得ながら、生涯をゴールドバッハの予想の解決に費やして敗北した“架空の”数学者ペトロス・パパクリトスの物語です。

シルヴィア・ナサー【著】、塩川優【訳】「ビューティフル・マインド天才数学者の絶望と奇跡」(新潮文庫, 2013年11月)

ゲーム理論に関する業績によりノーベル経済学賞 (1994年) を贈られた John Nash の半生を描き、映画化もされました。 Nash は数学者としては非線形偏微分方程式の研究で知られています。映画の終盤に、ノーベル賞候補になったことを伝えにきた使者が均衡理論や交渉理論のことばかり話題にするのに対して、Nash 役の Russell Crowe が「多様体埋め込み理論は?」と訊き返して無視される場面があります。 (ここが映画の見所です:-P)

Nash の研究については H・W・クーン & S・ナサー【共著】「ナッシュは何を見たか純粋数学とゲーム理論」(シュプリンガー・ジャパン, 2005年10月) を読むと良いでしょう。

映画の中で Nash が碁を打つシーンが何度かありますが、それはおかしいと指摘している方がいます。半沢英一【著】「ヘックス入門天才ナッシュが考えた数学的ボードゲーム」(ビレッジプレス, 2013年3月) を読んでみましょう。ヘックスというゲームのことを私は大学生のときにこの半沢先生から教わりました。先生は「邪馬台国の数学と歴史学九章算術の語法で書かれていた倭人伝行路記事」(ビレッジプレス, 2011年1月) でもとても興味深いお話しをされています。

瀬山士郎【編】「バナッハ－タルスキの密室『数学者シャーロック・ホームズ』増補・改題」(日本評論社, 2013年9月)

シャーロック・ホームズの未発表の事件記録が日本で発見された! 騙されたと思って読んでみてください。

有川浩【著】「フリーター、家を買う。」(幻冬舎文庫, 2012年8月)

小川洋子【著】「博士の愛した数式」(新潮文庫, 2005年12月)

山本弘【著】「詩羽のいる街」(角川文庫, 2011年11月)

年のせいか「不正直」「不正義」「悪意」といったものと対峙することが、フィクションと分かっていてさえ苦痛で耐えられなくなってきました。これら三冊に描かれるのはどれも心の温まる物語です。