北海道教育大学札幌校 日本語学研究室



日本語教育における接続詞指導・習得に関する研究文献とその概要
掲載誌:『札幌国語研究』11(北海道教育大学国語国文学会・札幌)1-23頁・2006年8月
追補掲載:山室和也研究代表者『国語科における機能的アプローチによる文法教育の再構築に関する実証的研究』(課題番号16530611)(平成16年度〜平成18年度科研費補助金基盤研究(C)(1)研究成果報告書)69-84頁・2007年3月

●無断複製・転載を禁ずる。 Copyright (C) BABA Toshiomi 2006- All Rights Reserved.


HOME


日本語教育における接続詞指導・習得に関する研究文献とその概要

馬場 俊臣



目的及び凡例
 本稿では、日本語教育における接続詞及び文の連接類型に関わる指導及びその習得を対象とした研究文献とその概要を示す。
 接続詞は、文章・談話の論理的展開に深く関わるとともに、談話の進展にも貢献している。本稿は、従来の研究内容を俯瞰し、その成果を生かした指導や調査研究が行えるよう情報提供を行うことを目的としている。
 採録範囲は、1945年以降発表された上述の内容を含んだ文献であり、2006年1月現在で筆者の知り得た範囲で採録した。ただし、原則として概説書の類及び事典・辞典類の項目は対象から除いた。
 文献選定にあたり、主に、国語学会(現日本語学会)・国立国語研究所「国語学研究文献総索引データ」、国文学研究資料館「国文学論文目録データベース」、国立国会図書館「蔵書検索・申込システム(NDL-OPAC)雑誌記事索引検索」を利用した。
 文献の配列は、発表年順であり同一発表年の場合は著者名の五十音順とした。
 記載の順序は、次の通りである。
 著者名 発表年 論文名又は書名 (論文の場合)掲載図書名又は掲載雑誌名及び巻号 発行元 (論文の場合)掲載頁 学習者の母語/レベル (改行後)概要
 「発行元」は、誌名に大学名が含まれる紀要類及び主要な学会誌等は省略した。
 「学習者の母語/レベル」は、論文中に明示されている場合及び容易に推測できる場合に限り示した。
 「概要」は、特に接続詞に関する記述内容をまとめたものである。接続詞以外の記述内容は省いた。


栗原宜子1968「それから・すると・では」『たより』31(日本語教師連盟)28-36頁:初級
 「それから、すると、では」の用法と使い分け、日本語指導上の留意点を述べたもの。「それから」の「順序的用法」の指導では「行動動作的な動詞や、急移行の動詞など時の制約を受け易い動詞」を選び、「附加的用法」の指導では「順序的用法」との混同を避けるため「形容詞、性状的動詞、存在を示す動詞など」を選ぶ方が安全であること、「すると」は帰結に主として因果関係、継起関係、原則性、習慣性などを帯びた事の自然の成り行きをそのまま客観的に述べており、話し手の主観が出ず、「と」と同様「命令、依頼、決意、勧誘など、話し手の主観を強く表わ(ママ)す形」は原則として来ないことを教えることや例文では後件に「なるべく無意志の動詞」を使い前件と後件との関係も常識的で当然の結び付きの関係があるものを選ぶことが大切であること、「では」の前件は「設問または判断の材料」、後件は「話し手の答、判断」であり、後件には「命令、依頼、勧誘、決意、意見など、話し手の主観が強く打ち出されて」いることを指導することが大切であることなどを示している。

池尾スミ1971「問題点を中心とした表現の指導―3」『日本語教育研究』4(言語文化研究所)1-10頁
 あるひとくぎりの叙述内容を表現する際の文脈の問題について、接続詞及び「それはそうと、それにしても」等コソアド系の接続語句に焦点を絞って、学習指導上の諸問題を論じたもの。「並列・累加、対比・選択、同列・説明」の接続詞は比較的定着しやすいが、「順態、逆態、前提(だとすれば、そうだったら)」の種々の接続詞は機能上の判別がつきにくくなることを指摘している。さらに、「時間場面」(その時)、「空間場面」(あそこで)、「場面展開と人称表現」、「挿入句(文)」(もっとも等)、「非直前の先行場面・抱(ママ)括場面」(それにしても)、「話題転換」(では等)、「文章の終結部」(では、そういうわけで等)に関する表現ごとに問題点を指摘している。さらに、場面設定や類義表現に留意したいろいろな練習のしかたを挙げている。

Hideichi,Ono1971「The Teaching of the Japanese Language as a Foreign Tongue(W)」『東京外国語大学論集』21:139-151頁
 接続詞の分類(逆接、順接、添加、同格・補足、並列、転換)を示すともに、代表的な接続詞(しかし、が、だから、それに、つまり、または、ところで、あるいは、および、ならびに)の用例を示し簡潔な説明を加えている。

池尾スミ1974『文章表現』(国際交流基金)(1979第2版・1990第3版凡人社)
 接続詞及びコソアド系の接続語句(それはそうと、それにしても等)の学習指導上の諸問題を述べたもの。「並列・累加、対比・選択、同列・説明」の接続詞は比較的定着しやすいが、「順態、逆態、前提(だとすれば、そうだったら)」の種々の接続詞は機能上の判別がつきにくくなることを指摘している。さらに、時間的場面(その時等)、空間的場面(あそこで等)、挿入句・挿入文(もっとも等)、場面の展開と人称表現、非直前の先行場面・包括場面(それにしても等)、話題転換(では等)、文章の終結部(では、そういうわけで等)に関する表現ごとに問題点を指摘している。〔39-49頁 文章の展開と接続語句類〕(池尾スミ1971参照)
 文章中の空欄に接続語句を補う練習例、録音テープを聞きながら文章中の空欄に接続語句を補う練習例を示している。〔144-146頁 接続語句類その他(文・文章の展開に関する表現)〕

佐久間まゆみ1976「段落の要約を主とした中級日本語の指導について」『日本語学校論集』3(東京外国語大学)138-159頁:中級
 中級日本語学習者に共通する欠点として、既習文型を接続語句や指示語を用いて連ね、ある程度の長さをもった文章として表現することが苦手であることを指摘している。この欠点を克服するため、段落の要約の訓練を行い、複文や接続語句・指示語を積極的に使わせる指導が有効であるとし、その実践例(説明文2編、物語文1編)を詳述している。また、不適切な要約文について接続詞の使用とも絡めた分析を行っている。

田中寛1976「「接続詞」と基本文型」『研修』180(財団法人海外技術者研修協会)18-20頁:初級
 研修生の作文など具体例に基づきながら初級学習者の接続詞に関する問題点をまとめたもの。誤用に関しては、文化的発想、思考表現の相違にも配慮すべきであるとしている。「そして、だから、でも」が多用されること、「それでは、では、そして、それから」の混乱が見られること、指示語が接続詞的な役目も果たしていることなどを指摘している。

遠藤織枝1978「作文における誤用例―モスクワ大学生の場合」『日本語教育』34:35-46頁:ロシア/上級
 モスクワ大学日本語学科4、5年生の日本語研修課程(東海大学)での研修の際の作文の誤用例を紹介し検討を加えたもの。接続語句に関しては、「〜にもかかわらず、それにもかかわらず」(「が、しかし」など一般的な逆接との違い)、「ならびに」(固い文体でない場合での使用)、「または」(「また」との混同)、「それでは」と「それで」の混同が取り上げられている。

O. Mizutani・N. Mizutani(水谷修・水谷信子)1979『Nihongo Notes2 Expressing oneself in Japanese』(The Japan Times Ltd.)
 日本語学習者向け解説書。〔18-19頁「Ja... じゃ…… (Then...)」/26-27頁「Datte... だって…… (Because...)」/28-29頁「Sikasi... しかし…… (But...)」/46-47頁「To yuu-to... と いうと…… (So...?)」/124-125頁「Sore-ni shite-mo... それに しても…… (Even so)」〕(日本語版 水谷・水谷1988『外国人の疑問に答える日本語ノート1』ジャパンタイムズ)

北條淳子1980「中級読解教材における接続詞の問題」『講座日本語教育 第16分冊』(早稲田大学)20-36頁:中級
 中級段階での使用語彙の選定のために、教科書・教材類での使用頻度調査を行い、展開型(だから、そこで、それで)、反対型(しかし、だが、が、けれども、それでも、でも、ところが)、累加型(そして、それから、それに、また、さらに、しかも)、同格型(つまり、たとえば、すなわち、要するに、いわば)、補足型(もっとも)、対比型(あるいは)、転換型(ところで、さて、では)の語を示している。さらに、「だから、ですから、それで、そこで」(「それで、そこで」の依頼・命令等の文末制約など)、「しかし、だが、が、けれども、それでも、でも、ところが」(「それでも、けれども」の前件を是認するニュアンスなど)、「そして、それから、それに、また、さらに、しかも」(「そして」の多義性など)、「つまり、要するに、すなわち、いわば、たとえば」(要約、説明、換言、例示などの用法の相違と重なりなど)の類義表現別に相違点を説明している。

O. Mizutani・N. Mizutani(水谷修・水谷信子)1981『Nihongo Notes4 Understanding communication in Japanese』(The Japan Times Ltd.)
 日本語学習者向け解説書。〔112-113頁「Dakara… だから…… (So,…)」〕(日本語版 水谷・水谷1989『外国人の疑問に答える日本語ノート3』ジャパンタイムズ)

O. Mizutani・N. Mizutani(水谷修・水谷信子)1983『Nihongo Notes5 Studying Japanese in context』(The Japan Times Ltd.)
 日本語学習者向け解説書。〔18-19頁「Sorede... それで…… (And so...)」/36-37頁「Sorega... それが…… (That...)」〕(日本語版 水谷・水谷1989『外国人の疑問に答える日本語ノート4』ジャパンタイムズ)

加藤英司1984「接続詞・接続助詞の使用頻度と日本語能力との関係」『日本語教育』53:139-148頁:オーストラリア
 学習が進むにつれ節と節、文と文との関係が明確にされるようになるという経験的知識を踏まえ、実際の発話の中での接続詞・接続助詞等の使用頻度の変化を見るために、二人のオーストラリア人学生を対象として行った調査の結果を分析したもの。日本語能力が高まるにつれて、接続詞、接続助詞の使用頻度が高まり、文と文、節と節との関係が明確になること、接続詞の使用頻度が常に接続助詞の使用頻度を大きく上回ること、自然な学習環境(日本での日本語習得)の影響により接続詞、接続助詞の使用頻度及び種類が急激にふえること、本来の意味を失い発話間のポーズを埋めそのつながりを滑らかにするために使われるある種の接続詞(でも、だから、そして等)は学習初期の段階でも現れる可能性があることを明らかにしている。

柴田俊造1986「『日本語中級T』における接続語について(T)」『東海大学紀要留学生教育センター』7:1-25頁:中級
 『日本語中級T』の中で扱われる接続詞(接続連語を含む)を効果的に理解させ、可能な限り誤用を防ぐことを目的として、『日本語中級T』での接続詞及びその他の代表的な接続詞を、意味別に取り上げ、各語の用法・注意事項や例文を詳述したもの。並列・累加型、順接型、逆接型を取り上げている。(柴田俊造1988に続く)

O. Mizutani・N. Mizutani(水谷修・水谷信子)1986『Nihongo Notes7 Situational Japanese2』(The Japan Times Ltd.)
 日本語学習者向け解説書。〔62-63頁「Connecting two sentences (2) De,...」〕

蒲谷宏1987「日本語読本に関する文章論的一考察」『早稲田大学語学教育研究所紀要』34:52-65頁:初中上級
 日本語教科書教材文(『外国人のための日本語読本』『日本語読本 中級』)の文章の性格を、「接続語句の使用度」「主語、文末表現」(主語の連鎖、陳述の連鎖)の観点から考察したもの。「接続語句」(接続詞、副詞、連語など)に関しては、文章全体から見た使用頻度の調査を行い、その際「理解者を考慮してわかりやすく叙述内容を表わす」という特色がある「反覆、例示、説明、要約などを示す接続語句」(言い換えれば、たとえば、すなわち、つまり、要するに、など)(「換言系接続語句」)に注目している。接続語句が少ない文章は「基本的に叙述内容の流れを重視する文章」であり、「新聞などではスペースの制限上、連接関係が明瞭な際には接続語句が用いられない」としている。接続語句が多い文章は「ほとんどが説明文、解説文」であり、換言系接続語句が使用されている文章が集中しているとしている。さらに、「描写型」の文章は接続語句使用頻度が低く主格主語(「が」の文)比率・叙述率(主体的立場の陳述を持つ文の比率)がともに高いという特徴があり、「説明型」の文章は接続語句使用頻度が高く主題主語(「は」の文)・叙述率がともに高いという特徴があることを示している。

北條淳子1987「中級段階における文型について」ICU日本語研究室編『あすの日本語教育の道を求めて―ICU日本語教育30周年―』(凡人社)33-36頁:中級
 中級段階の文型の特徴を述べたもの。中級で扱う文型を、大きく、「文中文型、文末文型、句末文型、文と文を結ぶもの(接続語)」に分けて示している。接続語に関しては、「だから」と「それで」などの類似文型のまとめも中級段階では重要であることを指摘している。

北條淳子1987「中級文法およびその教授法」ICU日本語研究室編『あすの日本語教育の道を求めて―ICU日本語教育30周年―』(凡人社)51-54頁:中級
 中級段階の文法における主な問題点の一つに「接続詞類」を挙げ、「もっとも、といっても、といって、そうかといって、だからといって、それはそうと、それにしても、それにしては」の例文を示している。

北條淳子・今田滋子・才田いずみ1987「討議(中級文法の教授法について―段落の接続指導について―)」ICU日本語研究室編『あすの日本語教育の道を求めて―ICU日本語教育30周年―』(凡人社)40-41頁:中級
 中級文法の教授法の討議をまとめたもの。段落の接続詞指導の具体例が示されている。北條は、主な練習として「@ 実際に接続詞が使われている文章を提示し、用法を説明する。 A 接続詞の個所を空白にした文章を示し、いくつかの接続詞の中から選んで入れさせる。 B 1つの段落のあとに接続詞を置いておき、それに合った段落を作らせ、文章を完成させる。」を挙げている。今田は、「@ 習った教材からパラグラフ、またはパラグラフの連続のようなものを抜き出してその中から、接続詞の部分だけ空白にする。そうしてその空白部分を学生にうめさせる。 A 接続詞は原文通りに与えておいて、パラグラフ、またはパラグラフの連続の中の文の順序を狂わせて、それを組みたてさせる練習も出来る。この種の練習は、順接、逆接などの関係から、学生がパラグラフを構成してみることで、前後関係を判断する力も要求される。」という練習法を挙げ、段落の接続詞に関する研究及び実践は、日本語教育ではまだあまり進んでいないことを指摘している。

長友和彦・迫田久美子1987「誤用分析の基礎研究(1)」『教育学研究紀要 第一部』33(中国四国教育学会)144-149頁:初級
 正用・誤用の判断基準(文文法、談話文法の二つの規範がある)、誤用分析の目的、実際に行った誤用分析の方法・対象(初級修了者の作文)・分析結果とその検討をまとめたもの。談話文法の観点による誤用の一項目として接続詞を挙げている。

市川保子1988「接続詞の用法と文脈展開―作文指導のための一試案―」『筑波大学留学生教育センター日本語教育論集』3:175-185頁:初中級
 初中級レベルの学習者を対象に、4文接続を中心とした、接続詞による文脈展開習得のための一試案とその実践を述べたもの。接続詞の文脈展開の方向を「たて」「よこ」に二分し、文脈展開の方向と量を、直線を使って明示的に図示してつかませることを基本方針としている。順接・逆接・転換など論点の推進発展に役立つものが「たて」に伸びる接続詞であり、同列・添加・補足・連鎖など論点を深化拡充するものが「よこ」に広がる接続詞であるとしている。また、指導上の参考として、文頭に接続詞を持つ文は、「たとえば、もっとも」などを除き、「名詞+は(も)」が主題として現れやすいこと、「ところが」の方が「しかし」より前文に対し転換の度合いや意外性の度合いが高いこと、「つまり、だから」は文末に「〜のだ」を取りやすいこと、「また、つまり」は前文と同じ文末表現をとりやすいことなどを指摘している。

柴田俊造1988「『日本語中級T』における接続語について(U)」『東海大学紀要留学生教育センター』8:33-51頁:中級
 『日本語中級T』の中で扱われる接続詞(接続連語を含む)を効果的に理解させ、可能な限り誤用を防ぐことを目的として、『日本語中級T』での接続詞及びその他の代表的な接続詞を、意味別に取り上げ、各語の用法・注意事項や例文を詳述したもの。説明型(言い換え、要約、解説・理由、補足、例示)、対比・選択、転換を取り上げている。(柴田俊造1986の続稿)

長友和彦・迫田久美子1988「誤用分析の基礎研究(2)」『教育学研究紀要 第二部』34(中国四国教育学会)147-158頁:初級
 初級修了者の作文に現れる誤用を、文文法・談話文法という二つの規範を用いて分類し、前回(長友和彦・迫田久美子1987)の結果と比較し共通点と相違点などを考察したもの。接続詞に関しては、五つの品詞(動詞・格助詞・名詞・係助詞・接続詞)の誤用率(使用総数に対する誤用数)を調査しており、動詞・格助詞・名詞・係助詞・接続詞の順に誤用数が多く、接続詞・動詞・格助詞・係助詞・名詞の順で誤用率の割合が高いことを示している。これに基づいて、誤用数と誤用率との相関は認められず、誤用数が多いからといって学習が困難であるとは言えないとしている。

水谷修・水谷信子1988『外国人の疑問に答える日本語ノート1 ことばと生活』(ジャパンタイムズ)
 日本語学習者向け解説書。〔181-183頁「じゃ…… (Then...)」/192-193頁「だって…… (Because...)」/194-195頁「しかし…… (But...)」〕(英語版 O. Mizutani・N. Mizutani1979)

水谷修・水谷信子1988『外国人の疑問に答える日本語ノート2 ことばと自己表現』(ジャパンタイムズ)
 日本語学習者向け解説書。〔5-7頁「というと…… (So…?)」/109-110頁「それにしても (Even so)」(英語版 O. Mizutani・N. Mizutani1979)

横林宙世1988「中級学生の作文に表れた接続表現について」『Sophia International Review』10:70-74頁:中級
 中級学生の作文に現れる接続表現(接続詞、接続助詞)を調査し、その特徴について考察したもの。次のようにまとめられている。「中級作文では意味的には八分類の型が全て表(ママ)れるが、接続詞の使用度やどの語を選択するかなどは、日本人と同様に個人的好みが大きく影響する。一般的に言えば、色々な接続表現を取り混ぜて使用している作文は読みやすいが、接続詞類が少ないものには幼稚な印象を与えたり、不自然な感じがするものがある。中級初期の学生では接続詞類だけではなく指示語を含む接続助詞類にも誤用が多い。中級後半の学生になると、文頭や段落頭の接続表現はかなり正しく使用できるようになるが、まだ文中の接続表現には誤用が見られる。会話能力と読み書き能力に差のある学生では話し言葉と書き言葉の混乱が見られる。」

横林宙世・下村彰子1988『外国人のための日本語例文・問題シリーズ6 接続の表現』(荒竹出版):中上級
 接続詞に関する学習者用教材(用法解説・練習問題)。

鄭亨奎1989「中国人に対する日本語教育の一考察―接続表現の誤用例の分析を中心に―」『教育学研究紀要 第二部』34(中国四国教育学会)119-123頁:中国
 中国語話者の日本語学習者に見られる接続表現(主に接続助詞、一部接続詞も含む)の誤用例の分析を通して、学習困難点や指導上の留意点を考察したもの。類義関係にある接続表現、接続法(活用形)、文体、形式の省略(単純な文の羅列)などによる誤りを分析している。接続詞に関しては、文体の誤り(会話文に「ないし、なぜなら、および」などの書き言葉的な表現が使われているもの、丁寧な表現に「だから、だったら」などのくだけた表現が使われているものなど)が取り上げられている。

栃木由香1989「日本語学習者のストーリーテリングに関する一分析―話の展開と接続形式を中心にして―」『筑波大学留学生教育センター日本語教育論集』5:159-174頁:初中級
 日本語学習者(19人)のストーリーテリング(6枚の絵を見て内容を説明)を、日本人(9人)と比較し、特に接続形式(接続詞、接続助詞など)の使用に関する特徴や問題点を述べたもの。日本語学習者の発話では、「あとで」が多用されること、「たら」が適切な箇所を「て」でつないでいる例があることなどの特徴を指摘している。そして、日本語学習者の発話に見られる、母語話者とは異なる使用傾向は、表現したい事柄を自分の使える範囲の言葉で言い表そうとする試みの現れであることが多く、不適切な使用となっていることも多いが、その反面、単なる単文の羅列から文章に近づける効果を持っていると述べている。

長友和彦・迫田久美子1989「誤用分析の基礎研究(3)」『教育学研究紀要 第二部』35(中国四国教育学会)173-183頁
 長友和彦・迫田久美子1987・1988に続く一連の研究。「これまでの研究で明らかになったこと」の部分に接続詞を含む品詞別の誤用数と誤用率に関する結果(長友和彦・迫田久美子1988)が簡潔にまとめられている。

水谷修・水谷信子1989『外国人の疑問に答える日本語ノート3 ことばと相互理解』(ジャパンタイムズ)
 日本語学習者向け解説書。〔203-205頁「だから…… (So,…)」〕(英語版 O. Mizutani・N. Mizutani1981)

水谷修・水谷信子1989『外国人の疑問に答える日本語ノート4 ことばとコミュニケーション』(ジャパンタイムズ)
 日本語学習者向け解説書。〔49-50頁「それで…… (And so...)」/69-70頁「それが…… (That...)」〕(英語版 O. Mizutani・N. Mizutani1983)

森田良行1989「U 連文型」『日本語教育指導参考書15 談話の研究と教育U』(国立国語研究所)113-202頁
 「第4章文章における連文上の問題 3.使用文型とキーワード オ.接続語による展開の形式化」の中で指導上の留意点が述べられている。接続詞にソ系指示語に由来する語が多い(それに、それと、それで等)ので、指示語として使われているのか接続詞化しているのか区別する訓練が必要である、ただ接続類型を分類するだけでは不十分である、同じ文同士を異なった接続詞が結びつけることがあり明らかに表現意識に差があるのでこのような「意味」と結びつけた指導が必要である、省略すると連文が成立しない種類の接続詞の使い方すなわち「先行叙述に対する筆者の意味付け、そして、そのような意味付けの下に以下の叙述を考えていくことを明示する語」は連文理解にとって極めて重要であるなどの指摘がなされている。(森田1993『言語活動と文章論』明治書院所収)

平川八尋1991「理工系講義に現れる接続表現の分析―教材作成のための基礎資料分析―」『長岡技術科学大学 言語・人文科学論集』5:93-102頁:上級
 理工系学生のための専門別日本語教育教材開発の一環として、講義ビデオの文字化資料を材料にして、接続表現(接続助詞、接続詞)の使用とその特徴を分析したもの。接続詞に関しては、「講義で使われている接続詞の種類は、限られている」(それで、で、そして、それから、ですから、だから、たとえば)、「順接、及び因果の接続詞が多く、逆接が少ない」、「接続詞の縮約形の使用率が高い」(で)という特徴を指摘している。

加納千恵子1992「読解指導の方法と過程―接続詞による予測・推測を利用した指導例―」『筑波大学留学生センター日本語教育論集』7:19-44頁:英語/中級
 米国MITで行った中級学習者を対象とした読解指導の実践例を報告しながら、予測・推測という読みの技能を学生に意識させることによって読解力をつけさせることを目的とした指導法とその効果を考察している。接続詞を手がかりに、その後に続く文や段落内容を予測・推測させるという指導過程が示されており、このような指導が概ね好評であったとしている。

佐藤政光1992「日本語学習者の作文における連文レベルの誤用について」『明治大学教養論集 日本文学』251:173-187頁:上級
 ディスコース・レベルの誤用文の分析の試みとして、日本語学習者の作文の中から連文レベルの誤用を取り上げ、タイプ別に特徴と問題点を記述したもの。接続語、指示語、語句の反復・省略、取り立て助詞「ハ」、文の流れ、その他(文末「ノダ」等)の6種のタイプに分けて誤用例を挙げ誤用の原因などを分析している。接続語に関しては、日本語の接続語の数が多く微妙な意味の違いがあるため日本語学習者に完全に理解させるのは容易ではないこと、最初は微妙な違いを説明するよりも論述文に必要な接続語の典型をしぼってそれらの使い分けを練習させることが大事であること、文章全体の意味と関連させた指導がなされなければ接続語は正しく使うことができないことなどを指摘している。

土肥治美1992「公的な談話と論理的文章に表(ママ)れた接続語句」『名古屋大学日本語学科日本語教育論集』3:33-49頁
 日本語学習者(特に留学生)にとって必要となる、音声言語資料(公的場面談話)及び文字言語資料(論理的文章)での接続語句の実態を明らかにするため、講演、大学教科書、経済白書、新聞を資料として調査分析を行ったもの。文字言語資料では、逆接型「しかし」や添加型「また」が多く、語彙の変種の数も多いこと、音声言語資料では、話を続けていく機能を持つ語(で、そして、だから、それから等)が多いこと、「しかしながら」は改まりの指標ととれることなどを指摘している。

有賀千佳子1993「対話における接続詞の機能について―「それで」の用法を手がかりに―」『日本語教育』79:89-101頁
 接続詞の対話場面固有の用法の教育がコミュニケーション能力向上の一助になるため、接続詞の独話・対話双方の用法記述が必要であるとし、「それで」の用法を「順接・のべたて型」「認め(発見)型」「添加・のべたて型」「展開要求型」「展開予告型(話題展開型、前出文脈言及型、依頼切り出し型)」に分類し特徴を考察している。「順接・のべたて型」「添加・のべたて型」以外の用法、特に「話をかえる」働きをする「展開予告型」は独話教材に現れることが殆どないために指導上留意する必要があることを指摘している。

金久保紀子1993「大学の講義における接続の表現」『日本語と日本文学』18(筑波大学)1-11頁
 大学の講義の日本語の特徴及び理科系と文科系の講義の差についての基礎的な資料を得るために、接続の表現(接続詞、接続助詞、接続詞相当句、話題をコントロールする語句、重要度の強弱を示す語句など)の分析を行ったもの。理科系では、豊富な内容を消化するために接続詞や接続詞相当句あるいはその他の理解を補助する語句・発話を効果的に使用していること(展開の接続詞の多用、接続詞相当句「それはなぜかというと、その次」等の多用、話題の提示・終了の表現の多用、講義の重要度の強弱を示す語句の多用等)などの特徴があることを指摘している。文科系では、接続詞・接続助詞共に理科系より頻度が高いこと、言い換えや説明のための挿入句を多用しある事柄を様々な面から説明することを考慮した発話を行っていること(同格の接続詞や挿入句の多用等)、もとの意味とは異なる用い方をする場合も多いこと(逆接用法以外の逆接接続助詞「が」等の多用等)などの特徴があることを指摘している。

金久保紀子・金仁和・本田明子・松崎寛1993「講義の日本語における理科系・文科系の特徴」『日本語教育』80:74-90頁
 専門分野別日本語教育のための基礎資料を得ることを目的として、理科系と文科系の講義の言語表現を「発話」単位で分析し特徴を明らかにしようとしたもの。「発話の長さと複雑性」「発話の要素」などに分けて分析している。接続詞に関しては、理科系・文科系ともに「で、それから、だから、それで、ですから」などの限られた接続詞が頻繁に使用されること、接続詞の縮約形・話し言葉形(で、と、そいでね、んで等)が使用されること、理科系では「それで…それで…それで…」という接続詞の使用パターンが多く現れるのに対し文科系では「それで」「だから」「けれども」が比較的バラバラに現れる傾向があり両者で異なることを指摘している。

青木惣一・青柳久雄・大竹弘子・佐藤つかさ・谷すみゑ1994「よく使われる接続詞の教材作成と実施の報告」『アメリカ・カナダ大学連合日本研究センター紀要』17:1-29頁:英語/中上級
 単文段階から談話段階への橋渡しをするための、連文レベルの学習を中心としたコース(話し言葉での説明や描写に用いられる基本的な接続詞の運用ができることが目的)の教材について、作成の背景、方針、教材構成、実施結果とその問題点を報告したもの。接続詞教育が体系的に行われておらず学習者は主に母語からの類推で接続詞を使用するため誤用、非用、過用が生じているという問題点を指摘している。作成の基本方針として、接続詞別の習得ではなくて意味・機能(順接、逆接、添加、選択及びそれぞれの下位分類)別に教材を構成し類似する接続詞の違いを一つ一つは説明しないこと、学習者の誤用をなくすために代表的な用法のみを取り上げ接続詞の使用領域を制限することを挙げている。教材の構成については、第1版の問題点とそれを改訂した第2版とを示しながら、意味・機能の分類の問題点や学習上の問題点を詳細に述べている。授業実施後のアンケート結果に基づき教材の目的は概ね達したとしているが、書き言葉で用いられる接続詞について別の教材を用意することが必要であること、接続詞使用の適否に関して教師の間でも個人差が予想以上に大きかったことなどの問題点を指摘している。なお、転換、同列、対比、補足の教材を作成中であるとしている。

川村よし子1994「場面に応じたことばの使い分け―逆接の接続詞を中心に―」『東京国際大学論叢 商学部編』50:55-66頁:上級
 日本語教育の場において場面に応じたことばの使い分けを指導するための基礎的な研究として逆接の接続詞の使い分けを「改まり度」に応じて示したもの。「+2 非常に改まった場面」から「−2 非常にくだけた場面」の5段階を設け、「+2 しかしながら、しかるに」「+1 が、だが」「0 けれども、しかし、ところが」「−1 けれど、でも、それでも」「−2 けど、だけど」が対応するとしている。こうした基準に基づく指導は、日本語学習者にとってはるかにわかりやすいものになると述べている。

北條淳子1994「接続の語について―逆接の語を中心に―」『早稲田大学大学院文学研究科紀要 文学・芸術学編』40:61-77頁:初中上級
 日本語教育を念頭に置き、逆接の接続詞の特徴(形式的特徴、使用頻度、用法、位置とかかり方)について考察したもの。日本語学習者の文章作成では初級後半で「が、けれども、しかし、でも」などを使用できるよう指導すること、中・上級では説明文や論説文を書くことが多いので「しかし、だが、ところが、それでも、けれども」などが使用できるよう指導すること、語の種類は多くなくても正確に使用できるようにすることが重要であること、読解ではレベルに応じて日本人が一般に使用しているものを提示し説明することが必要であることなどを指摘している。

黒岩浩美1994「文章の結束性について―連接関係の分析からみた学習者の問題点―」『筑波大学留学生センター日本語教育論集』9:73-87頁:中国・台湾・韓国/中級
 連接関係を支える言語形式(接続語句、指示語、同語反復、同義語・類義語句の反復、助詞・助動詞など、前後関係)に着目して、日本語中級学習者(10人)の作文を文章論的文法論の手法により分析することによって、学習者の問題点の把握を試みたもの。新聞コラム(天声人語、窓)との比較も行い、日本語学習者の作文には、二文の連接関係を支える言語形式の使用が少なく、特に同義語・類義語句の反復が少ないことを指摘している。分析の結果、接続語句の使い方や同義語・類義語句の反復についての指導が必要であること、また文の連接だけではなく段落の展開についての指導が必要であることが改めて分かったとしている。

栃木由香1994「日本語の話しことばにおける接続と指示の表現―日本語中級学習者の発話分析にむけて―」『筑波大学留学生センター日本語教育論集』9:103-118頁:中級
 日本語中級学習者の発話が不連続(発話全体のまとまりがなく、文と文がつながっていない)となる要因及び解決策を考えるための基礎資料を得るために、日本人学生4名の話し言葉のテクストを対象として、接続と指示の表現の使用状況を分析したもの。中級学習者の発話が不連続となる要因について、一文中の節の数が日本人に比べて少なくテ形等を安易に用いること、使える接続詞の種類が少なく文頭・節頭ともに使用率が低いこと、使える指示詞の種類が少なくコトの持ち込みがうまくできず指示詞と指示対象が離れている時に接続詞などがうまく使えないことなどを仮説として示している。

牧典子1994「日本語で論文を書く留学生のための接続詞・接続の語」『国語国文学研究』30(熊本大学)180-152頁:上級
 留学生の論文作成の際の語彙選択という問題の中から特に接続詞を取り上げ、論文に適切な接続詞とその変遷、傾向などを考察したもの。明治から現代までの新聞、近世の論書、明治の翻訳小説、明治から現代までの近代小説を対象として、使用された接続詞を調査している。その結果に基づき、漢文訓読系の語(しかうして、かつ、すなわち等)のみであった時代から、これらの幾分の減少とその語に代わる口語的な語が加わった形態が使用される時代を経て、現在は口語的な語の使用が主流である新・旧混合の形が定着しており場合に応じて新・旧の形を選択しているとしている。そして、論文を書く学習者に提示する接続詞としては、現在一般的に使用される口語的な語のほかに「しこうして、ゆえ、もって、かくて」など一般に目にしなくなった語を加えて示すのがよいとしている。

村上治美1994「「道案内文」にあらわれる表現の諸相―接続表現を中心として―」『東海大学紀要 留学生教育センター』14:21-30頁:初中上級
 日本語学習での「道案内」表現の到達目標、評価基準、指導上の留意点を明らかにするために、日本語学習者と日本人学生の書いた「道案内」表現を、節及び文の接続表現(接続助詞、接続詞など)に注目して分析したもの。日本語学習者は、日本人より使用する接続助詞の種類が少なく「て、と」に使用が集中していること、日本人に比べ文の接続で接続詞や副詞などを用いる割合が少なく「くりかえし」が多いなど偏りがあることなどを指摘している。初級終了時の「道案内」の接続表現に関する評価基準・到達目標として、「接続助詞「て・と」の使い方ができている」「連接関係として適切に指示語・接続詞が使えている」「「くりかえし」による連接がおこなえる」という3点を挙げている。

北村よう1995「中国語話者の作文における文接続の問題点」『東海大学紀要 留学生教育センター』15:1-11頁:中国/初中級
 中国語学習者の日本語作文の誤用の原因を、中国語との対照に基づいて分析したもの。特に、句読点の使い方、文と文のつなぎ方の違いに関する誤用を取り上げている。句読点に関しては、日本語の「文」と中国語の「句子」との概念が異なるために起こる誤用(意味的に関連がある場合は「。」ではなく「、」とする、いくつかの文を一文にする際に述語の形を変えずに言い切りの形のまま「、」でつなぐなど)、言い切りの形やテ形だけを用いる誤用(中国語は文と文を「、」でつなぐだけで様々な関係を表すことができるため)、さらに接続詞と接続助詞の違いが分からず重複して使用する誤用などを指摘している。また、中国語としては簡潔で好ましい表現も日本語では舌足らずなものになってしまうことを学習者に意識させることが必要であること、話し言葉で普通体を接続の位置で用いる問題があること(日本語話者には言い切りに聞こえてしまいスタイルの使い分けができないと判断されてしまう)なども指摘している。

鮫島重喜1995「初・中級学習者の接続詞運用に関する一考察―中国人学習者の作文例から―」『名古屋学院大学日本語学・日本語教育論集』2:166-184頁:台湾/初中級
 初・中級レベルの学習者(計66名)の作文に用いられた接続詞を調査し、発達過程を数量的に分析したもの。主な分析結果は次のとおりである。「並列・累加・継起」の場合、初級では文連接数は多いが接続詞の使用率は低く、逆に中級では文連接数は少ないが使用率が高い。「因果・帰結」「逆接・対比」は初・中級ともに一定した文連接数の割合を占めるが、「因果・帰結」では中級の方が接続詞の使用率が高く使用された全接続詞に占める「因果・帰結」の接続詞の割合も高くなっているのに対し、「逆接・対比」では学習が進むに連れ接続詞の使用率は低下し全接続詞に占める割合も低くなる。初級段階では、連接関係とは異なった接続詞を使用した誤用が多く、特に「そして、それから」の誤用が目立つ。中級では、同じ連接関係を持つ接続詞との誤選択が目立つ。学習者間による差では中級で個人差が大きくなり接続表現の運用に差が出てくる。

徳田裕美子1995「接続助詞及び接続詞の誤用について」『日本語の研究と教育 窪田富男教授退官記念論文集』(専門教育出版)409-422頁:中上級
 接続詞、接続助詞に関する誤用を例文を通して示すとともに、練習法を提案したもの。接続詞の誤用に関しては、「使われていないもの」よりも「使われ過ぎているもの」が目立ったとし、「ところが、そして、それから、そのうえ、それで」などの不適切な使用例、接続助詞「が」の前置き用法が拡大解釈されて逆接の接続詞にも応用された誤用例、接続詞などを使わないでその文の主語や目的語にしてしまった方がよい例などを挙げている。どの程度の話題の転換に「ところで」がふさわしいかを理解させる練習、文脈指示の「それ」の入れ方について接続助詞や接続詞を入れることと関連づけた練習などを提案している。

栃木由香1995「日本語中級学習者の話しことばのテクストの型―接続表現の使用を中心に―」『筑波大学留学生センター日本語教育論集』10:79-93頁:中級
 中級日本語学習者(12名)の発話(約20分のインタビュー)を日本人学生(5名)の発話と比較し、中級日本語学習者の発話が「不連続な文レベル」になっている要因を、接続表現(接続詞、接続助詞など)の観点から明らかにしようとしたもの。節と節をつなぐ表現がうまく使えず短い文を多用している学習者、逆に一文が長すぎて言いたいことが分かりにくくなっている学習者がおり、どちらの場合も文頭や節の初めの接続表現をうまく使うことができていないことを明らかにしている。

新村知子1996「独話における接続詞・接続助詞表現の特徴―日本人大学生と外国人留学生の比較において―」『金沢学院大学文学部紀要』1:56-63頁:中級(中・上)
 日本人大学生10名と留学生10名の独話データを比較し、接続詞表現・接続助詞表現の特徴を明らかにしたもの。一人当たりの表現の種類及び使用延べ用例数は接続詞については両者でほとんど同じであり接続助詞でも留学生は日本人大学生より2割少ないだけであったこと、使用語彙は各グループによって使用パターンがかなり異なっていること(接続詞では日本人大学生が「で、まず」などをよく使うのに対し留学生は「だから、たとえば、でも」の使用が特徴的。接続助詞では日本人大学生では「ので」、留学生では「から」が特徴的。)を指摘している。留学生の場合、接続詞の選択が適切にできないため結果的に使用語彙の種類が増えたこと、また丁寧度レベルの選択ができないことなどが推測できるとしている。

村岡貴子1996「農学系日本語学術論文における接続表現について―農学系日本語教育のために―」『言語探究の領域 小泉保博士古稀記念論文集』(大学書林)447-456頁:上級
 農学系日本語教育の方法を確立するための基礎研究として、農学系学会雑誌掲載日本語論文(27編)を対象にして、接続表現を抽出し特徴を明らかにしたもの。並列の接続詞「また、および」が圧倒的に多用されること、接続詞「また、しかし、一方、なお、すなわち、したがって、さらに」の使用頻度が高いこと、連用中止法がテ形よりかなり多く使用されること、接続助詞「が、と、ので、ため」等が頻繁に使用されること、結論誘導表現では、指示詞、「結果」「以上」「から」を組み合わせた表現(この結果から、以上のことから等)が用いられることを示している。

渡邊亞子1996『中・上級日本語学習者の談話展開』(くろしお出版):韓国・中国・ドイツ/中上級
 日本語学習者による日本語談話の分かりにくさの問題へのアプローチとして、学習者の談話の展開の過程に注目し、談話の開始から結末までどのような言語形式を駆使して発話を構築しているかという角度から考察したもの。韓国語・ドイツ語・中国語を母語とする日本語学習者の言語資料(インフォーマルな話し言葉)を対象として、視点及び文の連接(接続詞、指示詞など)の観点から、日本語話者の資料と比較しながら、分析を加えている。学習者の談話のわかりにくさの一因として、展開スタイルの違いがあるとし、学習者の日本語は日本語話者の予測しないところで主語が変わったり、たびたび文が完結して中断したりすることなどを示している。また、学習者の日本語の展開スタイルの背景には、母語との関係がうかがわれることも示している。指導法に関して、談話の骨組みを日本語母語話者の展開スタイルに近いものに変換することが必要であるとしている。

村岡貴子・影廣陽子・柳智博1997「農学系8学術雑誌における日本語論文の語彙調査―農学系日本語論文の読解および執筆のための日本語語彙指導を目指して―」『日本語教育』95:61-72頁:上級
 将来農学系日本語論文の読解や執筆が必要となる、予備教育段階の農学系留学生に対する効果的な日本語語彙指導のための基礎資料を得る目的で、農学系学術雑誌8種の日本語論文40編を対象として行った、動詞、イ形容詞、ナ形容詞、副詞、接続詞の使用頻度調査の報告及びそれに基づく日本語語彙指導に関する考察をまとめたもの。接続詞に関しては、「および」「また」「しかし」の使用頻度が圧倒的に高く、また接続詞の漢字使用率が極めて低いことなどの調査結果を示している。また、限られた動詞、形容詞、副詞、接続詞の語彙が頻繁に用いられていることが分かったとし、高頻度語彙を指導することによって予備教育段階での効率的な日本語運用能力の養成が可能であるとしている。

市川保子1998「接続詞と外国人日本語学習者の誤用」『九州大学留学生センター紀要』9:1-18頁:中上級
 「中・上級レベルの日本語誤用例文小辞典」の研究成果の一部であり、特に「接続詞」の誤用について考察した論文。接続詞文に見られる誤用のパターンとして「接続詞そのものに関する誤り」「S2(後文)の主題・主語の脱落」「接続詞のうしろの副詞・副詞句の脱落」「S2における助詞の不適切使用」「S2の文末表現に関する誤り」「S1(前文)、S2の文体に関する誤り」を示している。さらに、接続類型ごとに混同の多い語や間違って使われやすい語などの誤用の傾向を指摘するとともに、語ごとに誤用の傾向や用法の特徴を示している。

木戸光子1999「接続表現と列挙の文章構造の関係(1)」『文藝言語研究 言語篇』36(筑波大学)69-87頁:中上級
 文章構造の共通性と多義性を明らかにするため、列挙の文章構造を含む文章に関して、日本語母語話者14名と中上級日本語学習者15名に対して、段落冒頭の接続表現を想定させる調査を行い、その分析考察を行ったもの。列挙の文章構造のような一見単純なものでも、接続表現によって文章構造が変化する可能性があることを指摘している。また、接続表現がなければ原文と異なる文章構造を読み取る場合と、接続表現がなくても原文と同じ文章構造を読み取る場合があることなどを明らかにしている。

仁科浩美1999「工学系論文における逆接表現の用法」『山形大学日本語教育論集』2:99-108頁:上級
 専門論文の読解・表現指導の基礎資料を得るために、工学系学会誌の論文56編を対象として逆接表現の実態を調査したもの。特に頻度の高いのは接続詞「しかし系」(しかし、しかしながら等)と接続助詞「が」であること、これらの表現はある程度限られた結びつきに使われること(問題の背景の説明―しかし―問題の指摘、通説等―しかし―実際値など)、「しかし系」と接続助詞「が」の用法にはかなり共通性があるが、一つの事物の特徴等について対比的に述べる場合には接続助詞「が」が多用されることなどが明らかになったとしている。

守屋三千代1999「そして・それから(第15課)」『日本語教科書のおとし穴』(アルク)124-131・220頁
 誤用例を示し、「『普通』に文をつなぐには『そして』を使うのがよい、と思い込む」学習者が出てくる恐れがあることを指摘し、「そして」と「それから」の使い分けのポイントを指導資料としてまとめたもの。基本的に「そして」は接続するもの同士にある種の前後関係が認められかつ全体でひとまとまりの意味をなす場合に用いられ、「それから」は出来事や発話の時間的な前後関係に沿ってそれぞれを独立的に結びつける場合に用いるとしている。具体的には、行為要求文で、文中の言葉を付け足す場合や、前文で言い足りなかったことばを補う場合は「そして」は不自然になること、相手に次の言葉を促す場合は「それから」になり相手の言葉を引き取って自分が続ける場合は「そして」が使われること、「そして」は前後の文の間にモダリティの意味的な統一性があることが条件になること、前後の文の内容が一定のモノや時・人において同時に成り立つ場合「そして」は不自然になること、「それから」は前文の行為の完結後に後文の行為が開始される感じとなることなどを示している。

庵功雄・高梨信乃・中西久美子・山田敏弘2000『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』(スリーエーネットワーク):初級
 初級日本語学習者を対象とする指導者向けの日本語文法解説書。文法項目の指導内容や留意点が簡潔にまとめられている。接続詞は、「それに」(199頁)、「そして、それから」(208-209頁)、「だから、それで、そのために」(217-219頁)、「すると、それなら、それでは、では」(228-229頁)、「それなのに、けれども、しかし、ところが等」(236-238頁)が取り上げられている。

石黒圭2000「「そして」を初級で導入すべきか」『言語文化』37(一橋大学)27-38頁:初級
 「そして」は幅広い用法(並列、因果関係(結果、結局)、時間(経過、継起))を持つこと、単なる添加でなく後続内容が「決定的」(それ以上進めない到達点)であること、論文・講義などの一方向的な語り(書き言葉的なもの)の中で多用されることなどを指摘している。そして、初級では、話し言葉を中心に導入する立場では「それから」をまず導入すべきだが、書き言葉も重要であるという立場では「そして」も早い段階で導入することになるが「そして」独自の「決定的」という特徴や、話し言葉では余り用いないという特徴などに注意する必要があるとしている。

市川保子2000『続・日本語誤用例文小辞典』(凡人社):初中級
 初・中級レベル前半で習う接続詞30語・副詞50語を対象として、談話レベルの誤用と指導法を、誤用例を提示しながら詳細に記述し説明したもの。語ごとに、関連する誤用の項目、誤用例文(原因別に「脱落・付加・語形成・混同・位置・その他」に分類)、正用例、誤用の傾向(誤用要因の分析説明)、指導のポイントが示されている。接続詞として取り上げられた語彙は「いわば、結局、けれども、さて、さらに、しかし、しかも、したがって、実は、すなわち、すると、そこで、そして、そのうえ、それから、それで、それでは、それに、だが、だから、つまり、ですから、でも、というのは、ところが、ところで、また、または、もっとも、要するに」である。巻末の「接続詞と外国人日本語学習者の誤用」(市川1998)では誤用の概観(接続詞そのものに関する誤り、後文の主題・主語の脱落、接続詞のうしろの副詞・副詞句の脱落、後文における助詞の不適切使用、後文の文末表現に関する誤り、前文・後文の文体に関する誤り)、連接類型別の誤用の傾向と各語の特徴がまとめられている。

伊藤誓子2000「外国人留学生の文章表現の問題点(2)―連文について―」『日本女子大学紀要 人間社会学部』10:99-109頁:中国・韓国
 留学生(中国・韓国各1名)の書いた作文を対象にして、連文に関して問題があると考えられる例を取り上げて、接続表現の誤用・脱落、文の位置と内容、展開のための内容という三つの観点から、誤用の原因や指導法を述べたもの。単に接続詞だけでなく、文頭にあって文の接続機能を果たす様々な表現を対象にすべきであること、文のふさわしい順序や文型の選び方の練習が必要であること、内容が曖昧であったり唐突に内容が変わったりしないように文の役割を意識させる必要があることなどを指摘している。

濱田美和2000「原因・理由を表す接続表現―中上級日本語学習者の誤用例分析を通して―」『IDUN』14(大阪外国語大学)203-222頁:中国語・マレー語/中上級
 因果関係にある二文や節を対象として、日本語学習者の誤用例を観察しながら、原因・理由を表す接続表現を使う場合の注意事項を述べたもの。因果関係にある事態は、何らかの形式でつながりを明確にした方がよい、一文中に原因・理由をあらわす従属節は二つまでとし修飾・被修飾関係の違いによってシテ節とカラ・ノデ節の順序を使い分ける、原因・理由を後から補足的に付け加える場合には必ず二文に区切るという注意事項を挙げている。

守屋三千代2000「添加型の接続語について」『日本語日本文学』10(創価大学)45-58頁:初中上級
 「そして」と「それから」を対象として、「前後件と継起性」の観点から用法を6種類に分けて使い分けを示し、さらに日本語教育への応用を述べたもの。初級教科書では「そして」「それから」を学習項目としてきちんと取り上げているものが殆どなく例文も不自然なものが見られることを指摘している。また、用法別に留学生に「そして」「それから」のいずれかを選択させるアンケート調査を行いその結果から、「そして」「それから」に関して多くの学習者は使い分けが曖昧でよくわからないのが現状であるとしている。適切に使い分けるには、「そして」の前後件のひとまとまり性と、「それから」の分離性、および発話時や談話時における想起したことを言い足す用法を理解する必要があるとしている。

庵功雄・高梨信乃・中西久美子・山田敏弘2001『中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック』(スリーエーネットワーク):中上級
 中上級日本語学習者を対象とする指導者向けの日本語文法解説書。文法項目の指導内容や留意点が簡潔にまとめられている。「§35 接続詞」(463-481頁)では「順接、理由述べ、逆接、言い換え・例示、並列・添加、補足、選択、対比、転換、総括」の機能別に各機能を持つ接続詞を取り上げている。

木戸光子2001「接続表現と列挙の文章構造の関係(2)」『文藝言語研究 言語篇』40(筑波大学)41-55頁:中上級
 留学生のための効果的な作文教育の基礎研究として、中上級日本語学習者28名と日本語母語話者27名の意見文(「まず、次に」の添加の表現を使用)の文章構造と表現を比較し、日本語学習者に意識されにくい日本語の文章構造や表現の特徴を明らかにしようとしたもの。留学生と日本人学生の作文では、文章構造(双括型、尾括型)が同じであっても、列挙内容や結論の示し方が異なることなどを指摘している。

財部仁子2001「作文における接続語句のレベル別問題点」『日本語・日本文化研究』11(大阪外国語大学)129-138頁:中国/初中上級
 初級・中上級別(中国語母語話者)に、作文に使用された接続語句の実態や誤用を分析し、問題点を述べたもの。初級、中級、上級の順に、単文の羅列、接続語句の不適切な接続の仕方、接続語句選択の誤り、接続詞の多用・パターン的使用、談話展開・構成に関わる接続の問題、接続助詞等で一文を長く接続しすぎる傾向という推移で問題箇所が現れることを示している。初級では文をまとまった内容を持つ文章に繋げる指導、中上級では文章の展開を意識させ展開を方向付ける運用力の育成の指導が必要であるとしている。

安藤淑子2002「上級レベルの作文指導における接続詞の扱いについて―文系論文に用いられる接続詞語彙調査を通して―」『日本語教育』115:81-89頁:中国・韓国/上級
 上級レベルの専門論文指導に役立てるために、文系論文59編と日本語学習者(上級・韓国1名、中国4名)の文章に使用された接続詞を調査し、問題点と指導の重点を述べたもの。文系論文の接続詞の異なり語数は平均12.5語であり、上位25語が調査論文の使用接続詞を高い率でカバーしていることを示し、指導の目安となるとしている。また、日本語学習者の文章には、初級から導入され定着率の高い接続詞(そして、しかし、また等)の使用が見られる一方、文系論文に高頻度で現れる「つまり、すなわち、したがって」等の使用はみられなかったとしている。より適切な語の代用として定着度の高い接続しを用いる誤用や書き言葉文体に適合しない語を使用する誤用などが見られたことも指摘している。

金子泰子2002「日本語初級学習者の作文研究―文のつなぎ方の分析を通して―」『信州大学留学生センター紀要』3:61-81頁:初級
 初級日本語学習者2名の作文を対象にし、文のつながりに焦点を当てて、分かりやすさの観点から分析を行い特徴をまとめたもの。始発型・承前型・転換型(林四郎の分類)の3分類とその文型決定因子(接続詞、代名詞、同語反復など)を抽出している。学習者の作文では、接続詞、指示語を承前因子として使用したものは予想外に少なく、また不正確でもあったことなどを具体的に示している。始発文型での主題の提示や承前文型での承前因子の多用、しめくくり文の存在などが文章の結束性や一貫性につながることが確認できたとしている。

木戸光子2002「接続表現と列挙の文章構造の関係(3)」『文藝言語研究 言語篇』42(筑波大学)51-62頁:中上級
 日本語学習者及び日本人学生に対する接続表現(接続詞)想定調査と作文調査(列挙の構造の作文を書かせ、接続詞を調査)(木戸1999、木戸2001)の結果及び本論文での日本語学習者対象の接続表現想定調査の追加調査結果に基づいて列挙の文章構造の多様性を具体的に記述し、さらに文章構造に関する留学生の作文の問題点と教育上の課題を述べたもの。留学生の作文の問題点として、接続表現の種類は選択できても下位分類の言語形式の選択がむずかしいこと、既習の文章構造の型にあてはめて接続表現を使用する傾向が見られること、列挙の必然性を表現上明示しない傾向があることを指摘している。さらに、教育上の課題として、文章構造の種々の型に対応する表現上のバリエーションを説明すること、列挙内容を明示する種々の表現(その理由としてまず等)を提示することなどが必要であるとしている。

木暮律子2002「日本語母語話者と日本語学習者の話題転換表現の使用について」『第二言語としての日本語の習得研究』5(第二言語習得研究会)5-23頁:初中上級
 母語話者(調査対象3名)及び日本語学習者(調査対象(初級〜上級)9名)が使用する会話(日本語母語話者の友人と雑談)の話題転換表現(認識の変化を示す表現、接続表現、メタ言語的発話など)の実態を把握するとともに、両者の異同と学習者の問題点を探る目的で、使用率、使用形態、表現形式の観点から分析を行ったもの。分析の結果、「1)話題転換表現を伴う話題転換の割合は母語話者、学習者とも高いこと、2)使用される形態の種類は日本語能力が上がるにつれ増える傾向にあり、認識の変化を示す表現・談話標識→接続詞→メタ言語的発話という順序での広がりが見られること、3)上級学習者になっても話題転換表現の不適切な使用が見られ、会話相手や場面に応じた使い分けができていないことなどが明らかになった。」としている(「認識の変化を示す表現・談話標識」は「そうそう、そういえばさー、んー、あのさ」など、接続詞は「でも、ところで、じゃ、では、で、あと」など、「メタ言語的発話」は「全然違うんだけどー」など)。また、接続詞で最も多く使われた「でも」について「会話においてもまず逆接用法が使われ、徐々に、母語話者での使用頻度が高い、展開用法や転換用法が使われるようになっていく」としている。

橋本貴子2002「英語母語話者のスタイル切換え」『阪大社会言語学研究ノート』4:94-113頁:英語/中級
 英語母語話者の日本語学習者(調査対象1名)のスタイル(自称詞、対称詞、親族名称、原因・理由、逆接、強調表現など)の切り換えを分析したもの。接続詞に関して、「EA独自のものとしては、接続助詞と接続詞の連続的な切換えが挙げられる。《対疎》場面で接続助詞が増えるのには、文の長さが関係しているようである。また、《対親》場面では、モニターがゆるむのか、接続詞の使用頻度が急激に上がる箇所もあった。」と指摘している(「EA」は調査対象者を指す)。

村岡貴子2002「農学系日本語論文の「結果および考察」における接続表現と文章展開」『専門日本語教育研究』4(専門日本語教育研究会)27-34頁:上級
 専門日本語教育での作文指導を効果的に行うことを目指して、農学系日本語論文の「結果」「考察」の部分の接続表現(パラグラフを接続する表現に限定)の出現状況を調査し分析したもの。「結果」の部分では「一方」等「対比」の接続表現が多用され、「考察」の部分では「従って」等「帰結」の接続表現が多用されており、文章展開を反映した結果となったこと、名詞を並列する「また」「および」も多用されていることなどが示されている。また、「一方」「しかし」「従って」等の個別の表現の論理構成も分析している。

浅井美恵子2003「論説的文章における接続詞について―日本語母語話者と上級日本語学習者の作文比較―」『言葉と文化』4(名古屋大学)87-97頁:中国/上級
 上級日本語学習者(中国語母語話者)の文章の特徴を接続詞の使用の面から調査分析したもの。日本語母語話者に比べ、接続詞の使用数や種類も多いこと、順接の接続詞の使用が多いこと、「さらに、だが、では」の使用が少ないこと、「しかも、だから、たとえば」の使用が多いこと、補助的用法の接続詞(また、そして、一方、それとも、すなわち、つまり等)も省略せずに使う傾向があること、「だから、だけど、でも」等の話し言葉的な接続詞が使われること、「だから、そして、しかし」等の早い段階で学習する接続詞の使用頻度が高いことなどの特徴を指摘している。

木村尅巳・山田信一2003『すぐに使える実践日本語シリーズ 13 語や文のつなぎ役 接続詞(初・中・上級)』 (専門教育出版):初中上級
 接続詞に関する学習者用教材(用法解説・練習問題)。

木山三佳2003「「から」「だから」の習得―教室習得学習者の事例研究―」『お茶の水女子大学人文科学紀要』56:75-90頁:初級
 教室習得環境にある学習者の発話データを用い、接続助詞「から」及び接続詞「だから」の習得過程を、接続形式、文中での使用位置に焦点を当てて分析したもの。習得順序は「ので」を習得していなければ「から」→「助動詞だ+から」→「だから」の順となること、使用位置の習得順序は文中の「から」→文末の「から」→文頭の「だから」の順となることを推測している。また「から」の過剰使用があることも指摘している。さらに、「ので」が先に習得されていると「から」の習得が遅れること、文法的機能の習得のあとに語用論的機能の「から」「だから」が習得されることも示している。

清水昭子2003「国際学生の口頭表現能力の調査―中間報告―」『Polyglossia』7(立命館アジア太平洋大学)115-120頁:初中上級
 留学生の日本語レベルの推移に伴う接続表現の使用状況の調査分析の中間報告。主に、中級レベルの接続表現を対象とし、使用した接続表現の一覧表が示されている。(続編は、清水昭子2003「国際学生の口頭表現能力の調査報告2」『Polyglossia』8(立命館アジア太平洋大学)129-135頁。ただし接続詞についての言及はない。)

高澤信子2003「論説と随筆における接続詞―日本語教育への応用―」『立教大学日本語研究』10:23-32頁:上級
 文章表現指導の参考に供するため、論説(社説・2カ月分)と随筆(エッセイ集1冊)の接続詞・接続表現(文頭に出現する場合のみ)の使用状況を調査分析したもの。社説では「しかし、だが、しかも、また、さらに」などが多用され、逆接、添加、順接の順で多く用いられていること、随筆では「しかし、そして、だから、だが」などが多用され、添加、逆接、順接の順で多く用いられていること、社説・随筆は短くまとまっており文章構成と接続詞・接続表現との関連をつかませやすいため作文指導では社説・随筆は適切な教材となり、その接続詞を示すことは学習者の理解を深めることになることなどを指摘している。

原田朋子2003「接続表現から見た日本語母語話者と中国語母語学生の小論文における文脈展開の比較」『予稿集 日本語教育学会秋季大会(大阪大学、2003.10.12)』(日本語教育学会)113-118頁:中国/上級
 小論文の文脈展開を明瞭にする方法を提案することを目的として、上級レベルの中国人日本語学習者の小論文の接続表現の実態を調査分析したもの。日本語母語話者に比べ、接続表現の多様性が少ないこと、同じ接続表現を重複して使用すること、話し言葉的な表現(でも、それに、ですから)の使用があること、書き言葉的な表現(このように、たしかに、そのため、そのためには)が使用されないこと、注釈の用法の使用が少ないこと、要約の用法の使用が極端に少ないことなどの傾向があることを指摘している。また列叙、並立、転換、注釈、結論を示す条件接続の表現の指導が重要であるとしている。(研究発表予稿集)

近藤邦子2004「香港の大学における日本語学習者によるストーリーテリングの接続表現の問題点」『早稲田大学日本語教育研究』5:77-92頁:香港/中級
 日本語学習者(香港・大学生・中級)の談話構成の問題点(特に接続表現に関して)の実態を明らかにするために、ストーリーテリング(連続した絵を他者に説明)を材料として調査分析したもの。日本語学習者は、母語話者に比べ、単文の使用が多いこと、接続詞の使用が少ないこと、語種(バリエーション)も少ないこと、接続助詞「から」や接続詞「でも」の多用が目立つこと、聞き手意識の必要な接続詞「で」の使用ができないことなどの問題点があることを指摘している。

俵山雄司2004「接続詞の指導について―「指示語を含む複合接続詞」と「談話を構造化する接続詞」―」『筑波応用言語学研究』11(筑波大学)97-110頁
 「指示語を含む複合接続詞」(それが、それも、こうして)と「談話を構造化する接続詞」(複数の項目の存在を示す文+列挙[まず、または、さらに、第一は、第二は]、複数の時間的出来事の叙述+こうして〈まとめの表現〉)は、教師・学習者の注意を引きにくいが、日本語学習にとって重要であるとし、それぞれの表現の学習・指導上の問題点及び対策について考察するとともに、特に「こうして」の指導の実践例を報告したもの。

橋本貴子2004「中間言語における接続詞と接続助詞の切換え―ある英語母語話者を例に―」『阪大社会言語学研究ノート』6:139-155頁:中級
 接続詞と接続助詞との切り換えについて、英語を母語とする中級日本語学習者の談話データに基づき分析したもの。前件と隣接し基本用法で使われている接続詞(この場合、接続助詞との置き換えが可能)と接続助詞とを比べると「改まり度の高い《対疎》場面」で接続助詞が増えていること、また前件と隣接しない又は派生用法で使われている接続詞(この場合、接続助詞との置き換えが不可能)と接続助詞とを比べると両者とも「《対親》場面」で多く用いられていることなどを指摘している。こうした傾向が出るのは「発話に対する計画性」(《対疎》場面では発話に対する注意が向きやすく計画性を持ち発話が行われる傾向が強くこのことが接続助詞が増える要因となる、《対親》場面では倒置句が多く非隣接が多くなったり派生用法が増えたりする)や動詞語尾変化の問題(《対疎》場面では丁寧体、《対親》場面では普通体が使用されており丁寧体の方が接続助詞と結びつきやすい、普通体はより複雑な語尾変化を伴うので文を切って接続詞で繋ごうという意識を持つ)などが関係していると指摘している。

村岡貴子・米田由喜代・大谷晋也・後藤一章・深尾百合子・因京子2004「農学・工学系日本語論文の「緒言」における接続表現と論理展開」『専門日本語教育研究』6(専門日本語教育研究会)41-48頁:上級
 理系論文の論理展開の方法を探るために、「緒言」に出現する接続表現の特徴を分析したもの。農学・工学系日本語論文90編(緒言が3段落構成の論文)を分析対象とし、主に、次のような結果を示している。「どの分野でも頻繁に用いられていた「しかし」と「そこで」は、出現状況に特徴が見られ、文章の論理展開に寄与していた。「しかし」は、その文の文末に動詞等の否定形か否定的な意味の表現が共起しやすく、先行研究の不足や、別の視点の導入と新たな提案等を導いていた。また、「そこで」は緒言文章の第3段落に集中的に出現し「本研究では」等の表現と共起し、論文概要の紹介の開始を明確に示していた。」

加藤奈津子2005「手紙文の話題展開と接続表現―学生の誤用例を通じて―」『日本語と日本語教育』33(慶應義塾大学)59-83頁:上級
 手紙文の話題展開と接続表現の使用について、上級日本語学習者の誤用例に基づいて問題点を検討し手紙文の指導の要点を示したもの。依頼の手紙、お礼の手紙、招待の手紙、招待への返事の手紙で文段レベルの誤用例があり、依頼の手紙、近況報告の手紙で文レベルの誤用例があったこと、「「依頼」の手紙文は、運用の難易度が高い」こと、「依頼」や「お礼」の手紙文などでは「「前文」から「主文」へと話題が大きく転換」しており「「主文」の冒頭で接続表現の使用に関わる問題が起こる」こと、「「背景・事情」の説明を受けて「依頼」を始める時に使われる、「つきまして」の使用が難しい」こと、展開の機能を持つ接続表現の中で使用頻度が多かったのは「実は」であること、「実は」は「未知の情報を予告する機能」を持つため「読み手と書き手が情報を共有している事柄へと話題を転換する際に、「さて」を使用すると、不自然な印象を与える」ことなどを指摘している。さらに、指導に当たっては、学習者に「まず、話題の展開には接続表現の使用が不可欠なことを認識させること」「次に、機能別の手紙の文段・文レベルにおいて適切な接続表現を使い分けられるようにさせること」が必要だとしている。

原田朋子2005「接続表現から見た文脈展開―日本語母語話者と上級日本語学習者の小論文比較―」『同志社女子大学大学院文学研究科紀要』5:103-120頁:中国/上級
 上級日本語学習者のレポート・小論文の文脈展開を明瞭にするために実態調査を行い指導への示唆をまとめたもの。日本語母語話者と上級日本語学習者(中国語母語話者)の小論文の文頭に位置する接続表現の使用頻度(800字、それぞれ80人分)と、接続表現の小論文における分布(800字、それぞれ30人分、35人分)について実態調査を行っている。「しかし、また、そして、たとえば」は両者ともに多く使用されているが、「このように、たしかに、そのため」は上級日本語学習者は不使用なのに対し「でも、ですから、それに」は上級日本語学習者のみが使用し「話し言葉と書き言葉の使い分けの能力の差」が考えられるとしている。また、「小論文の中間部では、上級日本語学習者は文の添加や話題の転換を行っているものの、適切な接続表現を使用していないことが多いが、日本語母語話者は様々な表現を駆使していた。小論文の後部では、上級日本語学習者は要約しようとしていながら、その主旨が不明瞭なことが多いが、日本語母語話者は、要約を表す接続表現の他にも、多様な注釈の接続表現及び順接条件表現を使用していた。」と指摘している。指導への示唆については、「上級日本語学習者の文脈展開をより明瞭にするためには、列叙の表現のみならず、並立や転換の表現の文脈上での使用法を指導すること、また、注釈の表現や結論を示す条件接続表現の語彙を増やすことが重要だと考えられる。さらに、文章構成に応じた適切な接続表現を選択できるような指導が必要と思われる。」とまとめている。

村岡貴子・米田由喜代・大谷晋也・深尾百合子・因京子・仁科喜久子2005「農学系・工学系日本語論文「緒言」文章の論理展開パターン」『日本語教育』125:157頁:上級
 理系専門日本語教育における作文指導のために、農学系・工学系日本語論文の「緒言」の文章構造を分析し、論理展開パターンを探ったもの。3段落構成の文章を分析対象としており、接続詞に関しては、「第2段落に、文末表現と共起しやすい「しかし」が出現し、第3段落では「(そこで)本研究では」で開始される冒頭文が目立った。これらは論理展開を支える特徴的なディスコースマーカーと位置づけられる。」と指摘している。(2004年度秋季大会報告:口頭発表)


付記 本稿は、平成16〜18年度日本学術振興会科学研究費基盤研究(C)(1)「国語科における機能的アプローチによる文法教育の再構築に関する実証的開発研究」(代表者:山室和也 課題番号:16530611)による成果の一部を含む。


HOME